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2020.10.16

農園芸のすすめ Ⅳ (雑記)

八点鐘

ヨーロッパ大陸の地中海沿岸は石灰岩土壌で弱アルカリ性です。 ワイン用を含むブドウの栽培に適し、地下水は硬水です。 日本は弱酸性土壌で、ほぼすべての野菜作りに適しています。 地下水は、軟水です。 これを見ても、日本は、世界でも稀な、豊かな水と土壌に恵まれた国です。

 

連作障害(イヤジ)は、茄子科(ナス、ジャガイモ、トマト等)の植物とエンドウ類、トウガラシ、ピーマン類で発生します。 連作障害の仕組みは、諸説ありますが、栽培した植物に対し土中の細菌が抗体を作ることにより発生します。 これにより翌年栽培した同種の植物が抗体反応により枯れます。 連作障害に対する解決策はありません。 4~5年これ以外の植物を栽培し、抗体がなくなるのを待つしか方法がありません。 連作障害を消す薬品がホ-ムセンター等に売っています。 購入して試してみましたが、効果がありませんでした。

 

農園芸をやっている人にも、この連作障害と土壌の pH(ペーハー) の調整を混同している人が多く、連作障害の話をすると 「石灰を撒いているので、土壌が中和されるから問題ない。」 と答える人がいます。 名人にほど遠い人達です。

 

小中学生当時、「百姓!百姓!」とよく馬鹿にされたものです。 大手製鉄会社の社宅が校区にたくさんあり、社宅の住民は地域の人(農民)よりハイソだと思っていたのでしょう。 彼らの不満のはけ口だったのでしょうか? 進学してから、季節感、野菜(果物)の発芽、成長、熟成の頃合い(旬)は、母親が熟知しており、一般の主婦より母(農業従事者)のほうが、物知りではないかと思うようになりました。 今では “そんなこともあったなぁ~” と懐かしく思います。

母は既に彼岸の人になって久しくなりましたが、いずれあの世へ行った際には、天国の珍しい野菜の作り方を教えてもらえそうです。 小学六年生のころに、母が平鍬 (ひらぐわ) の使い方を教えてくれました。 非力な小六生には女性の鍬の使い方がよく合っていました。 今でも、教え通りに使っています。

 

かつて、田畑の肥料として下肥(糞尿)を使用していました。 アンモニア(NH3)を含みますので窒素肥料として有効です。 ただし、直接野菜にかければ枯れてしまいます。 “野つぼ”で3月ほど置き、有機分を水性の養分に変えなければなりません。 したがって、映画『オデッセイ』で火星基地に取り残された主人公が、置き去りにして地球に帰還してしまった宇宙飛行士(美人で上官)の廃棄糞便のパックを開けて、基地ドーム内の火星地表に撒いてジャガイモの肥料にしたのは、百姓の感覚からすれば“ウソ”です。 そんな生々しいものを施せばジャガイモが枯れます。 それに、有機分を有効な養分に変える土中菌(バクテリア)がいませんから肥料にはなりません。 糞便のままです。

しかし、この宇宙飛行士は有能です。 すくなくとも植物の発芽と生育の条件を知っているのですから、見上げたものです。

 

小学生当時、学校からの帰り道 他人の畑の農作物に 「肥料だ!」 と言って、お小水を掛けたことがありましたが、これはひどいイタズラでした。 お百姓さん、ごめんなさい!

by 薄 明